35歳になったらマクドナルドでバイトしろ! (角川フォレスタ)
角川学芸出版
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馴染みの喫茶店に行くと、本棚にちょっと気になるタイトルの本があったので手に取って読んでみた。
タイトルが気になるし、対象年齢も私に近い。
きっと、他にも気になる人は多いだろう。
ストーリーは唐突である。
某企業の社員が、突然1年間マクドナルドでアルバイトしてこいと言われる。
突然「大魔王を倒す旅に出る」かのようなトンデモ展開である。
研修として無しではないと思うが、新入社員が対象ではなく、中堅社員相手にするところがトンデモであり、期間がトンデモである。その際の待遇や給与など、必要な情報が一切なく、それも人事からでなく上司から突然通達される。中小にはそんな研修をさせる余裕は無いし、大手ならちゃんとしたルートから異動や研修の通達があって然りだ。
百歩ゆずって、ファンタジーとして読もうと決心する。
そして、その後の展開の中で私はもっとマクドナルドの経営や人材育成のノウハウが紹介されていると期待していたが、そんなことはなかった。
多くの自己啓発の名著から、いろんな要素を抽出して、そのような法則やルールがマクドナルド内では社員はもちろんアルバイトまで教育されているという内容が多く、期待はずれだったと言わざるを得ない。
私はマクドナルドで働いたことは無いが、そういう友人は何人かいる。
この本に書いてあるような自己啓発的な話は一言も聞いたことがない。
少なくとも休憩室で自己啓発書やビジネス本を読むというのは考えにくい。
店舗の懇親会などのイベントの際に、近隣の店舗からスタッフをヘルプしてもらえるという話は確かに聞いたことがあったが、その他は「???」という感じだった。
マクドナルドの店舗スタッフの確保の仕組みや、人材育成システムは素晴らしいと感じているのだが、それは残念ながらこの本に載っている部分が核ではないと思っている。
だから、どうしても腑に落ちない。そんな感じであった。
主人公はマクドナルドにアルバイトに行ったきり、まったく連絡をしてもくれない会社に愛想をつかし、マクドナルドの社員になりたいと心を惹かれ始める。
だが、給与について何も考えずに、居心地よく働き甲斐を感じるというだけで、急にそのように考える35歳が果たしてどのくらいいるだろうか。正社員には簡単になれるのか。バイトじゃないんだぞ。あまりにもお気楽過ぎる。昨今の就職事情をナメているとしか思えない。
きっと、世間知らずで意識の高い大学生くらいなら、これを読んで「マックすげー」と思ってバイトを始めるかもしれない。しかし、リアル35歳がこれを読んでマクドナルドでバイトをしたいとは決して思わない。
ビジネス本なのか、マクドナルドの宣伝なのか、著者たちの宣伝なのか、よくわからない中途半端な立ち位置だったからだろう。私のビジネス書アンテナにまったく引っかからないまま今に至ったのだろう。
残念ながら、スタバ本と比べると、明らかに作りこみが足りない気がした。
(最高評価は星五つ)
【内容】:☆☆
【価格満足度】:---(購入していないため。主観評価では500円くらいで良い)
日本経済新聞出版社
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