ロマサガで考える神と世界

最近、宗教関係のネタが少ない。

というより、自重している。

今や宗教が話題になるのは事件やネタばかりで、
あまり良い印象を受けるような内容が無いからだ。
そもそも批判的スタンスの宗教ネタはあまり扱いたくない。各団体の教義や事情というのは、完全に内部に入らなければわからないからだ。

かといって、下手に新興宗教や有名宗教団体の良いところを取り上げようものなら、信者であることを疑われたり、利害関係者だと思われてしまう。

キリスト教新聞がかなり新社長になって大転換をしそうな雰囲気だが、私の周辺のキリスト教徒は冷ややかな視線を向けている。面白そうなことをたくさんして耳目を集めようとしている分、どうしても軋轢はあるのだろう。この点は中立スタンスを維持したい。

そういう理由で、特別な事情が無い限り今は自重せざるを得ない。

しかし、やはり宗教について考えることは重要だ。
現実ではいろいろしがらみがあるため、今回はゲームの中の宗教でも考察してみよう。

題材は初代「ロマンシング・サガ」だ。

ロマサガ00

ロマンシング・サガの神々

ロマンシング・サガには多くの神々が登場する。
説明は面倒なので、ウィキペディアをコピペさせていただく。

マルディアスの神々

エロール (Elore)
神々の父にして太陽神。破壊神サイヴァの小指に唯一残っていた良心から生まれた、最後の古代神。ニーサと共に多くの神々を生み出した。慈悲深い存在であるが、それゆえにかつて自分たち神々の戦いによって世界を破滅させたことを悔やんでおり、自らが力を持って世界に干渉することを控えている。

ニーサ (Nieca)
大地と豊穣の神。マルダーとサイヴァの戦いの後多くの神々がマルディアスを去った中、エロールの妻としてマルディアスに留まり、現在のマルディアスに居る神々を生んだ。

ウコム (Ukkom)
海神。船乗り達から信仰を寄せられる。

シリル (Siril)
森の神。巨木の姿を借り、森を守っている。他の神々とちがって寺院を持たない。

エリス (Elith)
銀の月と獣の女神。獣たちにとっての神という立場であり、寺院を持たない。

アムト (Amt)
赤い月と愛の女神。闇の力を抑える為にエロールに生み出された。

ミルザ (Mirsa)
かつてサルーインを倒した人間の戦士。その偉業をエロールにたたえられ神の一員となった。名の由来はおおいぬ座 β 星ミルザム。

マルダー (Marda)
マルディアスの創造神だが、ミルザとサルーインの戦いよりも遥か昔に起こった神々の戦いの後、他の神々と共に姿を消した。

サイヴァ (Sayva)
創造神マルダーの妻である破壊の女神。マルダー以下他の神々に戦いを挑み、単独でそれら全てを相手にして互角だったが敗北する。

三邪神
サルーイン (Saruin)
破壊を司る、破壊の女神サイヴァの心臓から生まれた 3邪神の次兄にして最も邪悪で危険な神であり、本作のラストボス。プライドが異常なほど高く、モンスターたちの創造主であるが、そのモンスターも道具としてしか見ていない。戦いの末、ミルザにより封じられた。そのプライドゆえに神が人間に敗北したということを認めず、数千年の時を経て再降臨を目論む。

デス (Des)
死を司る、破壊の女神サイヴァの骨から生まれた 3邪神の長兄。エロールの戦いには最終的に降伏して、現在はトマエ火山の奥深くにある冥府にいる。死を司る神であるため、戦闘に勝ったとしてもその身を滅ぼすことは不可能。邪の術法の達人であり、腕力においては実弟・サルーインを凌駕する。

シェラハ (Sherah)
闇の女王。破壊の女神サイヴァの髪から生まれた 3邪神の末妹。3邪神最大の魔力の持ち主。神々との戦いの末、戦いの日々に疲れきってエロールからの降伏を受け入れて戦いから遠ざかるための取引を彼と行い、薬指に「光のダイヤモンド」をはめられたことにより魔力と記憶を失った。シェリルと名前を変えて各国の酒場で働いている。

ロマサガ01

何のための神なのか?

ゲーム世界においてしばしば見られる神の存在意義は創世であったり、世界の仕組みや維持、そしてゲーム的には重要なプレイヤーの加護(能力アップ、特殊能力付け)である。

場合によっては神の加護を得た人間風情にやっつけられてしまうこともあり、今ひとつ神らしくない。もっと神は力では圧倒的であってほしい。

それはともかくとして、ロマサガに見られる個性ある神の存在は、ギリシャやローマを始め、世界の各地で見られる。日本における八百万の神や、ヒンドゥー教の神など、多神教においてはどこも似ている。

世界を作る神がおり、様々な自然現象を担当する神がいるが、それらの神は人間の活動を祝福し加護する神という側面も併せ持ち、アンチとなる神々(悪魔など表現は様々)との戦いを繰り返している。

初代ロマサガの神々も、こういった神々である。

神殿と聖職者の意味

初代ロマサガではご丁寧に各地に神々を祭る神殿があり、そこでその神々の属性に沿う術が販売されている。術もお金で買えるのはご都合主義なのだがここでは無視しよう。

神殿というのは神を祀るための場所である。
そして聖職者はその努めをする者である。
初代ロマサガは、それが正しく作られているという点で珍しいゲームだ。聖職者で使命感に駆られて冒険に出る者は出なかった。聖職者がちゃんと持ち場を守っていた。

ところで、往々にしてJRPGでは、神殿は無人であったり、ダンジョンだったりする。
神殿としてはあまりにも作りがおかしいのであるが、そういうものが初代ロマサガには無いという点で高く評価したい。

容量の関係上、メインとなる礼拝堂だけの神殿が多いのだが、宗教的に抑えるべきところは抑えているように思える。

ただし、信仰生活らしき様子はほとんど見られないし、神殿内は閑散としている。
人々の声からも宗教に熱心な様子はあまり見られない。まるで日本である。

初代ロマサガとその後

初代ロマサガができたのが1992年1月、ロマンシングサガ2が登場したのが1992年12月。
実はこの間には、統一教会の合同結婚式が大々的にニュースとなり、翌年にはマインドコントロールという言葉が有名になり始め、日本人の宗教アレルギーが強まり始める。

幸運にもその後のシリーズでは神々と言える存在は消え去り、術の属性は一新されるようになっている。キナ臭い雰囲気をあえて避けたのかもしれないし、神々を活用したロマンシングなサガはもう不要だと考えたのかもしれない。

その後、シリーズ中では世界創造などはさておき物語が作られているが、神に替わる様々な存在者によって世界の法則は保たれているようだ(神が不在なわけではない)。

非常に神話的なその世界

神々によって作られた世界だとすると、初代ロマサガ世界はとても不思議で、神話的な世界だと言っても良い。

まず神に匹敵する強力すぎる存在が多く存在している。

一応、水竜・アディリス・タイニィフェザー・フレイムタイラントの四天王は邪神に生み出された魔物の長という設定になっていたり、ジュエルビーストのように邪神も手を付けられない存在が次々出てくる。残念にも邪神はミスが多いようだ。

ロマサガ02

その他にも巨人などの存在がいて、神々の武具にならぶ強力なアイテムを作っている。彼らは神も邪神も快くは思っていないようだ。

また、エロールが吟遊詩人に扮していたり、サルーインを倒したミルザが人間でありながらも神になるなど、ギリシャ神話のような神と人間の関係が見られる面もある。

ギリシャ神話的に言えば、たいていは神がこれら強力な存在を作り出している。自己都合によって生まれた者たちが多く、その各自が人格を持って動いた結果、世界の秩序が乱れるということがよく見られる。そして人間が被害を受ける。

また、ロマサガではゲッコ族など、人外の生物と人間との交流も行われているのも面白い。また、クローディアのように動物と疎通する者もいれば、魔女も存在する。

非常に神話的な世界がそこには成り立っているのだが、基本的に神話では、神々のキャラが立っているほど単純な善悪二元論にはならない。ロマサガの世界観は、日本の神話やギリシャ神話に近い世界観と言えよう。

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一神教はリアル向き、多神教はエンタメ向き

いろいろ考察した結果、「多神教はエンタメ向き」と言いたい。

やはり人間には到底及ばない大きな力と自由な姿を持ち、活動をすることができること、そして長所も短所もある個性的な神々がいるというのは物語を作る上で都合がよく、また見ていて面白い。多くの矛盾があっても、その矛盾を語るための存在がどんどん出てくるので、見ていても飽きないだろう。

対して一神教はあまりエンタメ向きではない。唯一の絶対的な神が全てを支配し運行している様子を描いても、プロジェクトXのようなドキュメンタリーにはなるかもしれないが、エンタメ性は乏しいのだろう。ただ、それゆえに破たんも少なく、リアル向きな世界観なのかもしれない。そういう神の存在を肯定するなら、世の全ては神の御心で説明できる。

よって、やはりゲームを作ったり楽しんだりするのであれば、設定上は多神教を推すべきなのだろう。一神教にするなら、神の存在感を薄くしない限り、人間の活躍する余地はあまりにも作りにくいのである。

ロマサガ04

現在、一神教を掲げる国々がリアルでは強い権勢を持つが、それは世界を確立し、人々を束ねるのに向いている思想という面があるからだろう。エンタメは万人にウケることはあっても万人を束ねるには向かないものだ。

やはり、神のあり方は世界に大きな影響を与え、それゆえに神なのである。

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