レトロでシンプルなRPGがしたいと思った時に良いなと思ったのが、今回紹介する「ビギニングクエスト ~ベクセリアワールド物語~」だ。
見るからにすべてがレトロ。
容量も画質も正直に言って落とす必要が無い時代であり、レトロに作った割にはツクールMVということもあってそれなりに重たいのだが、この雰囲気でゲームを楽しみたいという人に向けたゲームと言えるだろう。

ゲームの流れとしては模倣と言っても良いレベルで王道。魔王を封印していたクリスタルを、国の王子が破壊し、逃亡したところで、主人公が勇者として王に呼び出され、冒険に旅立つことになる。

カギを町で補充するなど、80年代のRPGの様々なお約束を盛り込んだ本作は、シンプルではあるがそれだけに意外と難しく、謎解きやあえて導入されている移動上の制限なども懐かしい。
単純にレベルを上げて攻略することもできるが、低レベルで攻略しようと思えば、装備品や特技などをかなり検討する必要があるので、ファミコンゲームのようなやり込みができるゲームでもある。また、到達レベルが表示される親切設計になっているのだが、到達レベルが攻略レベルとは限らないなど、ちょっとしただまし要素(?)も見られる。



仲間は4人の枠があるように見えるが、3人でちょうどよいバランスとなっていて、終わってみるとやはり3人だったかという感じである。
マップも様々なオマージュが見られ、ある程度の年代のプレイヤーならニヤリとすることは間違いない。

エンディングは2種類あって、トゥルーエンドを目指そうと思ったら、強力なラスボスと戦うことになる。さすがラスボスという強さで、戦っていて楽しい。
全体的に良く作り込まれていて、すっきりと楽しむことができる。セリフがシンプルで説明不足、話が簡単に進みすぎるのもワザとそうしているのだろう。
レトロRPGの要素を数多く投入した本作だが、レトロRPGと違って決して難易度も高くないし、説明などが不親切ということもない。全部でも4~5時間あれば十分に終わるので、週末に少し遊びたいという時にでもプレイしてみると良いだろう。
少しネタバレになるが、世界の果てが行き止まりになっているゲームというのは、けっこう海賊高校生のようなネタに落ち着くんだなと感じてしまった。
少し前にプレイした(けどレビュー予定なし)「イシュタル戦記 ~黄昏のヴィーナス」も、そういう感じだった。
世界の構造を決める要因は様々なのだろうが、昔はシステム上の限界を設定で埋めていた印象だが、今は設定ありきで世界の構造が決まっている。最新のゲーム制作ツールでレトロゲーを作った本作のような、逆転現象が様々なところで起こっているのは何とも不思議と言えば不思議である。
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