昔、RPGの古典とも言うべきウィザードリィは、難易度が高く、日本に入ってきてからも、一般コンシューマー向けではないと言われていた。
しかし、今では根強いファンを獲得しているだけでなく、ウィザードリィを模したゲームもずっと多くなった。これは、日本のゲームをする層のスキルが高まったためだろう。
そして、リスペクトゲームはフリーゲームの中にも多く存在する。
今回紹介する「流れよ我が涙、と魔法使いは言った。」もそのひとつだ。
物語は、魔術師ヤエルギスの迷宮から国宝のシアモの指輪が奪い返されたところから始まる。盗賊のローランドは、まだ発掘されていない宝を求め、ヤエルギスの迷宮に入っていくが、そこで行き倒れている魔法使いの少女に出会い、共に迷宮を脱出する。
このゲームはウィザードリィにシステム上は似ているが、ストーリーとしてはゲームブックなどでありそうなわかりやすいシンプルなものだ。宿屋に宿泊するたびに、少しずつ物語の全容が見えるようになっている。
ラスボスとの邂逅は、因縁を理解するとなかなかに熱い展開となるだろう。
ダンジョンは地下5階までとそれほど深くなく、各階層もそこまで広くないため、この手のゲームに慣れていれば3~4時間もあればクリアできるだろう。ウィザードリィのように死亡ペナルティはそれなりに重いが、本家と比べれば優しいものだ。お金に関しても本家ほどシビアではない。
最近のゲームらしくFOEが登場したり、鑑識がまとめて処理されるなどゲーム性が高まっているのも良い。本家ほど謎解きや初見殺しがあるわけではないが、1階下るごとに別世界の敵の強さになる点はいつやってもドキドキする。
システム上は、立ち絵を自由に設定する余地があることや、ノーストーリーモードの実装などが良くできている。
ゲームバランスはもう少しというところだが、それでも正攻法でちゃんとクリアできる程度にはまとまっている。個人的にはもう少しキャラメイクや成長でキャラクターに違いが出ると愛着を持ちやすく良かったと思う。
それでも、想像力で画面上のシーンを補完できるので、ゲームとして十分に楽しめるし、考え方次第でいろんな楽しみ方もできる。ウィザードリィは難しすぎて諦めた、というような人も、このくらいなら楽しめそうだ。
コアなゲーマー向けではないが、3DダンジョンのRPGの入門編としてはとても良い出来なのではないだろうか。
また、この雰囲気が好きな人がちょっと遊ぶにもよい。
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