攻められないサッカー日本代表

0-0と煮え切らない結果を残した、W杯のギリシャ戦から一晩明けて、何がどう良くなかったのかを考えてみることにする。

多分、サッカー好きの数だけ争点があり、それぞれに正解があったのだと思うのだけど、私は私の思うところで分析してみることにする。

①3-0で勝てたはずの試合

今回の試合、きっと3-0で勝てたはずの試合だと思っている。勝負の世界だし、たらればは無いのだが、前半の20~40分くらいの攻勢に出ている時間帯に1点欲しかった。それで全ての流れが日本に傾いたはずだった。そこを守りきったギリシャもさすがだと誉めるべきなのだろうが、この時間帯、日本は長友や山口、長谷部のインターセプトから何度もショートカウンターのチャンスを迎えていた。しかし、フィニッシュや飛び出しの精度が今ひとつで、決定機をつかめていない。

この時間帯の1点の有無が試合を決めてしまった。ギリシャに落ち着きと、日本に焦りを与える結果となってしまう。長友や内田、大久保がサイドで一対一で相手をかわして深くえぐるシーンが多く見えたのもこの時間帯だろうと思う。

あとは、前後半を通して、取れそうな時に取れなかったことが悔やまれる。大久保と内田に2度ずつエリア内で決定機があったがそれを取れなかった。これが残念でならない。

②戦術的な成功と失敗

今回、大きな戦術的変更はやはり香川のベンチスタートだ。

しかし、これは納得できる。香川が左サイドに入ると、基本的な攻撃は香川と本田による中央突破、そして中央に人が寄った頃に長友のサイドでのオーバーラップである。しかし、ギリシャは真ん中のブロックが非常に強く、激しいため、中央突破はかなり難しい。線の細い香川があの果敢にスライディングタックルも仕掛けてくる巨漢たちに中央で戦いを挑むにはいささか厳しいと感じるし、後半が事実そうだった。香川の持つハイテンポなショートパスのリズムが全く出ていなかった。

前半は大迫がのらりくらりポストプレイをできていたように見えたが、それでもだいぶポストプレイの位置は低くなっていた。初めてW杯に出た時、城や中山がアルゼンチン相手にアジア予選の時ほど高い位置でポストになれなかったのを思い出した。

戦術的な面で気になるのは、後半の遠藤と長谷部の交代。長谷部のコンディションがそれほど悪い感じもしなかったし、遠藤を使うことで攻めのリズムを作りたかったことはあるだろうが、数的優位の状況で、あえてパサーを送りこむ必要があっただろうか?また、前半から精力的にボールを奪取し、ポゼッションに効果の大きかった長谷部を下げる必要があったのだろうか。結局、さすが遠藤!と思うようなチャンスメイクは後半を通して2~3回ほどあっただけだった。逆にギリシャ選手に比べて球際の弱さが目立った印象がある。

③誰なら引いた相手を崩せるのか?

そして、引いた相手に対してどう攻めるのか。これがやはり最大の課題であり負け要因である。アジア予選でよく見る光景ではあるのだが、やはりアジアレベルと世界レベルではまた圧力も違うし、体格だけを見てもギリシャはアジアのチームと比べれば平均身長で10cm以上、体重で15kgほど違う。体の幅も20%くらい増して見える。受ける圧力がハンパなかったのは否めない。

今回、4人×2列の守備ブロックをこぎれいに敷いたギリシャを崩すことが最後までできなかった。何度かサイドをえぐったが、中央はギリシャ選手でほぼ埋め尽くされ、日本の攻撃陣が侵入するエリアがほとんど無かった。

さて、こういう時、どのように崩すことができるのか。

前回覇者のスペイン(今回は既に敗退決定)は、異次元のパスワークで全てを崩した。パスを回しているだけで相手が勝手に崩れていった。危険なエリアでも、驚くほど正確な「止める」「蹴る」ができていたので、相手は対応せざるを得ず、守備の形が崩れていくしかなかった。日本も基本的にはこのような攻撃をしたがるが、今回はギリシャの圧力の前に完全に屈してしまった。

ブラジルであれば、密集地域でも果敢にドリブルで切り裂き勝負する選手が前線にいることが多い。一対一で抜けば、シュートが撃てるシーンが増える。それを可能にする選手がスター選手でありエースストライカーである。日本には、W杯レベルの大会でそれを可能にできる選手がいなかった。残念ながら香川にもそこまでは期待できない。

では、誰なら良かったのか。

斉藤を使うというアイデアもあるのだろうが、基本的にペナルティエリアの外のエリアから斜めに切りこむというスタイルでは香川と同じであり、そして守備ブロックがサイドから中央にかけて分厚く形成されているギリシャ相手には難しかっただろうと思われる。

かといって柿谷は裏にスペースがあってこそ生きる選手。裏のスペースをなくすために引いて守備しているギリシャ相手にはおそらく通用しない。

おそらく日本代表で、あれをこじ開けることのできる選手は本田だけである。コートジボアール戦のゴールも、本田はペナルティエリア内でボールをもらい、反転してゴールを向いて敵DFにワンステップでフェイントを入れてボールを持ち直し、ほぼ助走のない状態で強烈なシュートを蹴りこんだ。もちろん相手DFのチェックが甘かった点は否めないが、そうだとしても狭いスペースで全ての動きが完結しており、そして相手GKがほとんど反応できないパワーのシュートをあれで撃てるのが日本人離れした本田のパワーの成せるわざである。他の選手なら、シュートは撃てても弾かれたかもしれない。本田の左足には気をつけろとデータは絶対あるはずだが、それでも左足を振りぬく形を作った本田の瞬間的な閃きと技術に脱帽したシーンだった。

思えば、こういうゴールシーンは極めてイタリア的であると私は思うのだ。ビエリやトッティもこういうシーンが多かった。ある程度のパワーを持った選手で、ペナルティエリアで相手を背負いながらボールを持ち、半径2メートルほどの動きで相手を交わしてシュートまで持ち込む。そういう形に長けているというか、それができなければ通用しないのがセリエAだからだ。イブラヒモビッチやアドリアーノが得点を稼いだのもこういう形ができるからだ。

だから、私の視点では、大迫を下げて香川を入れるなら、本田をFWまで上げるべきだったのではないかと思うのである。そして大久保をシャドーにして、岡崎はいつも通りに右サイドから飛び込ませる形を作る方が良かったように思う。W杯本番で、日本相手に引いて守備ブロックを形成してくる相手がいるということもそもそも想定外ではあったのだが、そろそろ日本のレベルを考えてもそういう対応をとる国は出てくるだろうということを考えて、アジア予選の時からそういうオプションを準備しておくべきだったのではないだろうか。

 

さて、最後はコロンビア戦。相手は予選突破が決まっているので、調整面も考えたメンバーになるだろう。そういう面では大きくはないが、希望は残っている。2点差以上つけて勝つことが必須条件だ。守りの面でも組織というよりは個人であり、南米らしいボールを持たせてくれる守り方なので、日本の攻め方としては相性のいい相手となる。

そろそろ、攻撃陣の爆発を見たい。

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