女子のワールドカップバレー2015の感想「日本の技術的優位は無くなった」

ひさしぶりに落ち着いて見れたので、今日は女子バレーボールのワールドカップの感想でも書いてみようと思う。

一言で言うと、「日本の技術的優位は無くなった」と感じた。

かねてからサイズや身体能力を、回転レシーブやAクイック、縦のBクイックなど様々な方法で覆してきた日本だったが、ここへ来てもう技術的優位が完全に底をついた。そんな印象を受けたワールドカップだった。

昨年、「ハイブリッド6」という新しい攻撃方法を考案し、同時多発攻撃を展開したが、今回はそれも完全に対応されていた。理論上はブロックが許されるのは前衛3人だけであり、アタッカーが後衛も含めて4人以上攻撃に参加していれば確実に一人以上がフリーで攻撃することができる。というのがウリだった。

だが、それはコミットブロック(1vs1でマンマークするブロック)の場合だけであり、リードブロック(人でなくボールにつくブロック)でゾーンを固められた場合、それほど効果が表れなかった。

結局、結果は7勝4敗の5位。ほぼランク通りの結果と言っていい。日本以外も含めて、番狂わせは何もなかった、というのが今回のワールドカップの結果である。バレーボールはかなりランキングに正直なスポーツであることを一言断っておいた上で、今回の結果は面白くなかったと感じる。

というのは、全体的に技術革新が無いのである。強いて言えば、日本が試行錯誤して考えたバレーボールの良いところを世界はあっさり吸収し、世界は日本が捨てたブロック戦術を世界は研鑽して得点源に昇華させた。とはいえ、データをもとに絞込み、仕留めるという点では以前と大きな違いはない。

バレーボールの世界では、何ともしがたい「大は小をかねる」というものがある。今回、スパイクの打点がデータとして計測されて紹介されたことでテレビ中継の一つの話題となったが、もっと世界との差を見せてほしかった。相手アタッカーの最高到達点と日本のその日の最高打点の差がどれほどか。15cm程度はあるということを知らないといけない。この差がどれほど大きいのか、様々な面で実感できる。

まず、スパイクやブロックの打点が違うというのは当然のため割愛する。

大事なのは、ひとつに守備範囲。レシーブの技術にそれほど差が無ければ、身長の違いは守備範囲の差に直結する。そして、コート上のスペースを消すことに直結する。小さな日本選手たちと比較して、大きなチームはコート上に穴が少ないのだ。

また、サーブひとつにしても、大きな選手はコートに向かって上から振り下ろすようにサーブを打てる。小さな選手は少なからず山を作りながらサーブするしかない。そういう差がある中で、強く打て、狙え、というのは、はるかに技術もパワーも要ることであり、難しいのである。山なりにサーブを打つ場合は、行き過ぎないように力加減をする必要があるからだ。同じジャンプフローターでも、日本とアメリカはたとえば質が違ったと感じる。

日本ではスパイクジャンプの最高到達点が3m05cmなら高いと感じるが、世界のエースやMBたちは3m10cmを超えるのはほぼ確実で、3m20cmというレベルもたまに見かける。世界と戦うためには、もう本気で大型化しないといけない。この差を若い世代が本気でわかってこそ、世界レベルの選手が出てくるのである。

そして、今回、木村の不調が言われたが、あれだけ狙われて、よくあれだけちゃんと返していると感心するくらいだ。不調には不調なのだろうが、計算が狂うほどではなかった。計算外は、他の部分でのミスの多さだ。長岡や古賀も、大竹も、迫田も、はっきり言って実況や解説が盛り上がるほど決めていない。長岡は点を獲った印象があるかもしれないが、守備を大幅に免除されたオポジットであのくらい、ましてや勝負どころで獲りきれないのは困る。

世界のトップレベルは、エースも、脇を固める選手たちも一流の攻撃力をもっている。そして、一定以上の守備力がちゃんとあるし、Aカットでなくても得点を獲る方法をちゃんとチームとして持っている。これが本当の意味での技術である。Aカットを返せる、高いブロックに軽く当ててタッチアウトが獲れる、そういう技術はテクニカルだが得点と関係が無いので強さに直結する技術ではない。

そういう意味で、日本の技術的優位は終わった。次の期待の芽が出たのは良いが、本当にメダルを狙うのであれば、上手いチームや奇をてらうチームではなく、どんな状況でも得点力が期待できるチームを作り、練磨していくべきだ。

さて、男子はより厳しい戦いになるだろう。石川以外に、何か話題があれば良いのだけど。

 

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