久しぶりに心震えた、マンガ「喰いしん坊」

久しぶりに、土山しげるの「喰いしん坊」を読んだ。

入った喫茶店にたまたま置いてあったのだが、少し読んだら続きが気になり、ネットカフェで全巻読んだ。

週間漫画ゴラクに連載されていたので、正直知名度としては今ひとつだと思うのだが、この人の書く料理漫画はとにかく熱い。そして腹が減る。
残念ながら大食い全盛期の再来はもう無いと思うのだが、あの時代を生きた人間としてこの雰囲気はとても懐かしく、そしてあの熱気が無いと思うと少しさみしい。

久しぶりに読むといろいろと発見があっておもしろい。

下手な紹介はしたくないので、Wikipediaからあらすじを引用する。

主人公・大原満太郎はグルメな会社員。ある日、カウボーイのような格好をした男と出会い、その男のアドバイスで巨漢との大食いバトルに勝利。その男は、プロフードファイター・ハンター錠二と名乗る。
錠二は財界の大物、丹下御前が大食いのプロ競技化のため立ち上げた競技団体・TFF(丹下フードファイター)に協力し、ナンバー1の実力を誇っていた。そして満太郎は関西の大食い団体・OKFFからTFFへの妨害に対する義憤からTFF代表のような形で仙台の大食いイベントに出場。しかし満太郎もOKFFの卑怯な妨害にあって敗れてしまう。自らの甘さを認めた満太郎は、退路を断つために会社を辞め、錠二やTFFとの関係も断ち、独り大食い修行の旅に出る。

その後についてはOKFF(大阪食い倒れフードファイターズ)と喰いワンGPを通して戦い、世界大食い大会「喰輪杯(クイリンピック)」にて世界の強豪たちと大食い世界一の座をかけて戦うという流れとなっている。何となくこの一連の流れ(マンガ自体もだが)に「魁!男塾」的な雰囲気を感じるのは私だけだろうか。

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ちなみにこのWikipediaの項目は詳細すぎて頭が下がる。集合知万歳。

さて、大喰い選手は、人体の構造や反応について良く知らなければならないし、そして相手との駆け引き、そして食材に対して適切な戦術を立案する戦術眼など、様々な要素が必要であることが作中からわかる。

そして、立案した作戦を最後まで信じて守り、ペースを乱さない意志の強さ、勝利への執着心など、我々が社会で生きていくためにも大事なことを多く教えてくれる。

TVチャンピオンなどの大会で出場していた猛者たちは、こうしたことを実際にやっていたと思うと、ただの超人としてだけ見ていた自分が恥ずかしく、改めて頭が下がる。

そして、作者の強いこだわりは、作品を通しての「大食いはスポーツだ」という思想と美食も追及するという精神に表れている。食を決して貶めるものではないという、当時のマスコミに対する静かな反抗姿勢には共感できるものがある。

また、変に恋愛を持ち込むこともなく、男もなく女もなく、ただ大食いには人生とロマンがあることだけを表現することに成功した。ムダを切り落とす姿勢はまさにフードファイターたちの「水を極力飲まない」姿勢に通じるところがある。
我々は自分の届かない偉業を成した人間に対し、無条件に尊敬の念を覚える。
マンガではあるが、このマンガに登場する人物たちの精神や行動に、私は尊敬の念があふれてきて仕方がない。

ちなみに、映画もあったらしい。知らなかった。

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というくらいにあれこれ振り返るほど、久しぶりに心震えた。

日本には萌えばかりでなく、こういうマンガもあることをもっと関係者はアピールしてほしいものである。精神でなく形だけが伝わると、キルビルみたいなトンデモ映画が海外でリリースされて人気になってしまうのだ。

 

【余談】このマンガの中には淀川というキャラクターがいるのだが、どう見ても笑福亭鶴瓶だ。笑福亭鶴瓶はこうもマンガ内でモデルになりやすいのだろう。そして、どうして好々爺の役も悪役にもハマるのだろうか。

あちらこちらで言われているが、不思議な人間力を持つ人物である。

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