年末年始の沖縄で考えた沖縄問題についての所感

年末年始は沖縄に行って来た。

さすがに海には入れなかったが、沖縄でも珍しいくらいに暖かい正月となったらしく、半袖の人もチラホラ見られて非常に不思議な感じがした。
その沖縄といえば、今は基地関連の問題であれこれ揺れている。

大晦日や正月にまで街宣車が走っているのはどうなのかと思ったのだが、時勢的に仕方がないのかもしれない。本州のどこぞの神社でも憲法改正に対する署名活動があるくらいだ。

個人的には現在の翁長知事はパフォーマーという印象があるのだが、ある意味政治家らしいというか、県内の雰囲気はメディアを含めて基地の移設に反対となっている感じがした。それで話の根元にある普天間基地の返還はどうなるんだろうという問題は全然進まないわけなのだが、県知事としては「国にいいようにはさせない」姿を見せることによって求心力を発揮できる土壌なので仕方ない。
先日、沖縄の貧困率が非常に高いことがニュースで出ていたが、今に始まったことではなく、実際のところ経済格差が激しい経済構造であることが知られている。産業が弱いといえばそれまでだが、財産を持っているところはどんどん大きくなり、持っていない者はどんどん細っていくという状態であり、大学に通ったところで安心できる就職先は少ないというのが実情なのだそうだ。

余談になるというが、リクルートの社員が最初にローラー式の営業で名刺を配りもらってくるのだが、年収1000万にいたる人というのは多くの場合はスーツを着たエリートビジネスマンではなく、地味な服装をして汗水を垂らしている自営業者だという。沖縄はまさにそういう経済構造となっていて、また自営業者間の格差はものすごい。
沖縄で面白かったこととしては、出版業が不思議と盛んであった。書店には県産本のコーナーが立ち並び、見たことも無い本が多数出ている。そしてその多くはAmazonでも取扱いがされていない。内容はプロレベルの凝ったものから、素人レベルの単純なものまで様々だが、ここまで自分の地域を紹介し、研究する熱が高い地域というのはすごい。

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独自の歴史があることもひとつの理由だが、歴史を残せなかったという悔しさ、自分たちのアイデンティティを求める心が、今の人々には強くあるのだろう。

沖縄は本土と比べて農耕社会の成立による組織化が遅く、12世紀までかかった上、文字による記録を行う人材が乏しかった。正史ができたのも17世紀で、それ以前の歴史についてはあちこちの歴史書の記録と伝言などに頼るしかなかった。正史の内容もそれほど古くまで正式にさかのぼったものではない。

今でも多くの骨や化石が出てきて、過去の様子を教えてくれているそうだが、そうしたものは考古学の分野であり、記録を元にする歴史学とは違っている。言い換えれば、沖縄は考古学の対象なのである。

だから、明確な答えも主流となる話も出にくく、いろんな話がちらほら聞こえてくる。沖縄は朝鮮や中国と文化が似ているから渡来人の末裔だと言う人もいれば、東南アジアの人々と骨格などが似通っており、過去のクメール人の末裔だという人もいる。いろんな意見があるが「日本人とは違う」という点では一致している。

精神的文化的には日本人となった現在ですらも、日本人とは根本的には違うというジレンマを抱えている不思議な地域なのである。そこに日本の論理と都合を押し付けている政府に対する反発が起こるのは当然の帰結であろう。

 

話が方向性を失ってきた。何を言いたかったのかと言うと、沖縄というのは矛盾の多い地域ということだ。別の言い方をすると、感性的、感情的な地域だと感じたのだ。
感情は理性と比較すると揺れやすい。よって、感情に従った決定が積み重なると、どうしても矛盾が生じるようになる。理路整然とした理性による決定は矛盾なく着実な歩みを見せるが、緊張状態を生み出すため、どこかで弛緩の材料となる感情が必要となる。

沖縄にはウチナータイムといわれる「時間に遅れる」習慣がある。「遅い」のだ。おおらかだとか、のんびりとか、良い言葉にも取れるのだが、「遅い」ことを許容できる精神性が存在している。

しかし、残念なことに、いわゆる列強と呼ばれた国々にはそれが無い。物理でも軍事でも政治経済においても「速さは力」なのである。

沖縄人たちが過去、列強たちに煮え湯を飲まされた時には常にこの「速さの問題」があった。理性的判断をする前にどんどん追い詰められる。すると、感情的に決定せざるを得ない。すると、矛盾が生じ、人々が不利益を蒙る。この繰り返しだ。

だからこそ、沖縄の為政者には速さをもった人材が求められるのだが、沖縄のメンタリティでは、遅さを許容できるのが人格を測る物差しともなるため、そうした為政者は嫌われやすい。何とも矛盾を抱えた地域である。

 

あれこれ政策課題を抱えた「速い」日本政府と、基地問題に関しては意見がほとんど摩擦が無いが「遅い」沖縄。今年もデッドヒートは続きそうだ。

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