山口組の抗争、何が起きていて、何をするべきか

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日本最大の暴力団組織であり、国際的にも「ヤクザ」の名を知らしめた山口組の内部抗争が激化している。

分裂の原因はトップの方針に対する傘下の不満からの分裂でもあるが、どちらにせよヤクザはすでに斜陽産業となっており、人員の高齢化やシノギの確保も非常に難しくなってきている。

ヤクザについて良くも悪くもその情報が外部に対しても知れ渡ってきたことで、それによって様々な活動が困難になった。そして、警察とも一時期は比較的良好な関係があったが、これも結局暴対法によってほぼ破棄された。

直接的な原因は現在の弘道会中心の体制に対する反応ではあるが、環境的要因の変化は真綿のようにヤクザたちの首を絞め、そして今に至っていると考えられる。

抗争の激化は、事務所周辺の人々にも恐怖心を与えるようになったし、日々思わぬところで銃弾が飛び、拠点と思われるところには車という実弾が打ち込まれている。

どういったことが抗争において行われているのか、その手法を紹介しておこう。

戦略

昔からヤクザの抗争においては、総力戦よりもゲリラ戦が多い。それが、少ない戦力で相手に大ダメージを与える方法である。大きな組織であれば総力戦を仕掛ければ勝てるが、これは消耗も激しく、間隙を縫って他の第三勢力が仕掛けてくることもあるし、何より目立ちすぎる。そのため、採用されることはほとんど無いと言っていいだろう。

中東あたりで見られるようなテロ活動とヤクザの戦闘スタイルは現在では酷似していると言っていい。さすがに大型の軍事兵器まで所有している組は今はほとんど無いと思われるが、それでも人身を犠牲にして相手にダメージを与えるスタイルは今なお健在である。

そして、暗殺といった手段もいまだに効果的に使われている。相手の幹部クラスを落とすことは味方の士気の高揚につながり、相手の士気をそぎ、命令系統をマヒさせて瓦解させる効果があるので有効だ。

普通、ヒットマンには危険に伴う報酬がある。昔なら「家と金と女(男)」が定番で、今も報酬と共に海外に逃がしたり別の名義を用意したり整形させたり、とにかく安全に暮らせる状況を与えるというのが基本線だ。ヤクザ世界ではこうした優れた功績を残した場合は家族までがその恩恵を被るようになり、一生保護されることもある。

話が少し逸れたが、ヒットマンを一人使い、匿い、報酬まで与えるには金が要る。
そして、それらにやられないように主要人物を隠すためにも金が要るのである。

だから、現代ヤクザの抗争においては直接的な武力衝突よりも経済力を奪うために、シノギの拠点から削っていくというのが基本である。隠れ蓑にしている店などは標的になりやすい。もしも近所にそういったウワサのある店や地域があるなら、こういった情勢の下では近寄らないようにすることだ。

実弾としての大型車両

そしてゲリラ戦になるのであるが、この場合に、相手に最も大きなダメージを与えられるのがダンプカーなどの大型車両である。

そのメリットは、何よりも破壊力である。銃弾は建築物の壁を貫通することは難しいが、車両であれば突破してなお破壊力が十分に残る。そして、相手の居城にダメージを与え、経済的な損害も多く与えることができる。さらに、日本では銃を持って撃つことの方が車で事故を起こすよりも刑が軽く終わることが多い。抗争中の攻撃手段としては非常に理想的と言っても良い。ミサイルみたいなものである。そして、金さえ積めば日本ではほぼ無尽蔵に武器は入手できる。

デメリットは目立つことであり、不自然なこともあるということである。そのため、車両の入手先などで足がつくことを徹底的に避ける必要がある。

また、このような事件が一度あると、周囲の車のどれが敵勢力によるものか疑心暗鬼に陥るため、精神的な消耗が激しくなる。

はっきり言ってこれはテロ行為なので、破防法の適用も考えるべきと考えられるがどうなるのだろうか。

情報戦

現代ヤクザの戦いは情報戦という部分が強くなっている。
それはインターネットを利用するというレベルの話ではない。

長きに渡って作ってきた情報人脈やデータから、相手の拠点や人員に関する情報を整理し、分析し、最適な戦略・戦術を組み立てる。また、時には相手を撹乱するために偽の情報を流すこともある。

下手にインターネットやSNSなんかを使っていると、かえってワナにはめられる可能性もある。そういうものである。決して疎いとかいうことはなく、むしろ幹部クラスはそういった情報戦に強い部下を数人抱えているのが普通だ。

変に知ったかぶって情報を流すと、怖いところに見つかってしまう可能性があるのでSNSを使う時には気をつけよう。

人員確保

こういった抗争においては、戦力の確保が重要になる。

戦力というのは、自分たちの組織に属する者たちだけでなく、雇われた戦力や人間ではない戦力(武器など)を含むのである。よって、こういう抗争が起こっていると考えるなら、空港や港湾においては不審な人物や物資の出入りが無いか、しっかりチェックする必要がある。

また、社会的弱者や経済的弱者、外国人労働者がこういった場合のために雇用されることもある。ヤクザに言わせれば「歩の無い将棋は負け将棋」と言ったところだろうか。一般人だからこそできる役割もあるのである。彼らにとっても報酬は非常に嬉しいものではあるが、急に羽振りが良くなったりした人がいたら、注意するべきかもしれない。

安全を守るには?

このような抗争環境下で安全を守ろうと思うと、まず危険な地域を避けられるのであれば避けるべきだ。学校の登下校に教師が引率しても、それは安全を確保できるものではない。

警察もある程度、問題が起こりそうな地域がわかっているのであれば対策をしてほしいところだが、変に見張りを強化し、動きを封じることで抗争が長期化すると迷惑するのは住民なので難しいところだ。

安全を守るために、可能であれば別の地域に逃げる、というのが第一に思い浮かぶ。
学校や仕事などの問題が生じるのは否めないが、命を考えるのであれば大事なことであろう。政府はこういう時に何か補助をするなどしてほしいのだが、腰は重そうだ。

結局、自然災害に対してはある程度の対応はしてくれるが、人為災害に対しては保護や保障の対応がされず、処罰にしか応対しないというのが現在の政府の問題である。そのあたりは地下鉄サリン事件から進歩が見られないところで、非常に悲しい点と言えよう。

どうしても離れるのが難しいなら、できるだけ自宅待機をすることだ。

自然災害があったと思って、食品や必需品は買い込んで、なるべく家を出ない。こういう時には配達サービスも役に立つだろう(配達する側にはたまらん状況だが)。そして、お仕事で家を出る人はなるべく仕事を減らし、早上がりし、暗くなる前に帰るようにしよう。上司が文句を言ったら事情を説明したらいい。それで迷惑がられるようならその会社は辞めてしまってもいいだろう。命には代えられないし、そうした状況下で家族がそろっていないことによるストレスはかなり大きいものである。

いろんなことが想起されるが、この抗争が早く終わり、そして平和な暮らしが付近の住民に与えられることを切に願う。正直、抗争になってしまえば警察による守りはあまり期待できない。自然災害が来たと思って、早く過ぎ去るのを耐えるしかないのである。

せめて、安全地帯を組の側で宣言してくれたらいいのだが・・・。

 

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