東大の社会学が最近尖っている件

最近、いくつかの本を読んでいて気づいたのだが、東京大学の社会学の研究テーマがどんどん尖ってきている。現代社会を見つめる視線が、感性が、非常に若者的であり面白い。たとえば、次の二冊である。

教室内(スクール)カースト (光文社新書)
鈴木 翔
光文社 (2012-12-14)
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「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか
鈴木 涼美
青土社
売り上げランキング: 4,113

二冊とも、東大に所属していた(している)研究者が書いた本だ。

若者たちの行動と考えをこのような形で模索するのは面白い試みだと思う。どちらも背景には宮台真司の影響を受けていると思われるのだが、若者たちの本音をインタビューによって聞きだし、統計的なデータなどを用いて評価した手法は非常に面白い。

若者たちを研究テーマとすることはよくあると思うのだが、最高学府の東大の関係者からこういった研究が出てくるというのは正直意外であった。もう少し正統な方面、王道の研究をするイメージがあり、こうした異端的な角度からの研究が行なわれていることに驚きを隠せない。

スクールカーストについては格差の問題であると同時にカーストという格差を越えた身分のようなものが存在するという、「子供は平等」という学校側の建前を完全に破壊しかねない内容である。子供は権力によってそのカーストが生まれ、大人は能力によってカーストができていると信じているというその分析も非常に面白い。しかしながら解決策らしい解決策が無いのが一つの問題でもある。いっそ大学や予備校のように、授業をすべて選択制にするしかないのだろう。

AV女優の社会学は強烈な印象を与える一冊になっている。もはやAV女優という職業が社会から外れたものとして捉えられてはいない。生活の中で、学校に行き、恋愛をするように、地続きでAV女優になるという選択があるという。そしてそこで自分の位置を築くために自分を売り込む行動をしなければならないと。

どちらの本についても、現代の若者たちの承認欲求が満たされていないことがありありと浮かんでくるし、特定の集団に対して、また不特定の集団に対して、それぞれが適応しようと努力している様が浮かんでくる。

適応のための戦略や戦術は時代によっても変わってくると思うのだが、こうしたテーマを長年続けて見ていくと面白い結果が出るんじゃないかと学者でない私でも思うのだから、こうした物事を見る視点を備えた若い研究者たちはきっと新しい発見をし続けるのだろう。旧来的な物の見方で一生を終える年寄りには見ることのできない新しいものを見て、最新式の適応戦略・戦術を考えだすのだろうと思う。若者たちが時代に合わせて生きていくためには、古きを学んで新しきに活かす、それだけでも不足で、現代式の最新の戦術を身につける必要が出てきているのかもしれない。

今の時代を生きぬくには、戦国時代のように良い軍師が必要なのかもしれない。東大からの尖った提案には、やはり軍師には知性と大胆さが必要だということを示している。東大から従来の認識でタブー視されていたような論文が出てくるのは、偶然ではなくて必然なのかもしれない。

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