講談社 (2016-06-15)
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マクドナルドを利用することが非常に多い私だが、
最近、このハンバーガーについて非常に真剣に考えるようになってきた。
マクドナルドのハンバーガーの何がすごいのかということである。
ちょっと今日はこのことについて真剣に語ってみよう。
マクドナルドは文化
マクドナルドというのは、実に緻密な策略の元に様々な商品展開をしている。
有名なのがハッピーセット。
子ども用のボリューム商品に、おもちゃがついてくるのだが、
このおもちゃはバンナム・タカラトミー・ニンテンドーなど、日本の主たるおもちゃメーカーの商品がズラリと並ぶようになっている。
知らないうちにおもちゃの種類とメーカーを覚え、需要を喚起し、将来のホビー販売につながるようになっているのだ。
つまり、ハッピーセットは広告塔でもあるのだ。
その戦略は形を変えて流れ続け、ポケモンGOのジムやらポケストップになっている。
マクドナルドはジャンクフードの代名詞のように言われることもあるが、ジャンクとは「がらくた、くだらないもの」の意だが、ジャンクフードとは「満腹にするだけのくだらない食事」の意である。
本当にそうなのかといえば、おそらくマクドナルドの機能からすると、ジャンクフードの定義には含まれない体験を提供しているはずなので、そうではないはずである。家族で楽しむ、仲間と楽しむ、ネットを使ってゲームや仕事をする、そういった体験の場であるから、ただ腹を満たすだけでは無くなっている。
「マック」か「マクド」かでケンカになったり、その株価の上下やメニューの変更が話題になるのは、それだけみんなマクドナルド体験をしているし、マクドナルドが好きだからだ。
マクドナルドはかなり社会貢献もしているし、日本の経済や雇用への影響も大きい。
誰もが認知し、生活の中で息をするように利用して体験している。
だから、マクドナルドは文化なのである。
シェアに気をつけろ
ジャンクフード批判と同時に、多く見られるのが中毒性の問題である。
このジャンキーとジャンクフードのジャンクは元々関係ない気がするが、同じだと思われている気がするがまた別の話にしよう。
さて、ジャンクフードの過剰摂取は、薬物の中毒症状によく似た脳の状態を作る。
マクドナルドの恐ろしいところは、この中毒性を作り出すところだ。
こんなことを言うと怒られるかもしれないが、中毒性のあるものを全面に出して売り出すのがマクドナルドは得意だ。
商品の写真にはいつもコカ・コーラが前面に立つ。
コカ・コーラこそ、もともとは労働者を働かせるための疲労回復薬であり、昔のコカ・コーラにはコカインも入っていたといわれている。
もちろん今のコーラにはコカインは含まれていないのだが、カフェインや糖分によって依存しやすくなっている。
ハンバーガーという脂質の多い商品において、炭酸飲料ののど越しと爽快感は非常に相性が良いためセットになっているのだが、高いカロリーで脳に快楽を与えていく作用があり、依存しやすい状態を作ってしまう。
最近はコーヒーがどんどん前に立ってきた。朝メニューは特にだ。
コーヒーはカフェインが多く依存性があるというのはよく知られている話。
こういった商品を知らず知らずに摂取させることによって、脳にマクドナルドを植えつけていき、食事の中のシェアを取っていくのである。マクドナルドだけでなく多くの外食産業においては、全ての人の一日の食事機会は全て奪取対象なのだ。
だから、そのシェアを奪うために全ての仕組みがあるのだ。
これを知っておくことが、マクドナルドとうまく付き合う方法である。
最強の刺客「チーズ」
「ビーフ100%」を売りにするマクドナルドだが、実はビーフ以上に使われているのは「チーズ」である。
このチーズ、実はハンバーガー類では、チキチーを除くチキン系と、テリヤキ系、そしてハンバーガー以外の全ての商品に利用されている。
チーズは体に良さそうに思っている人がいると思うが、マクドナルドではこのチーズがおそらく最大のクセモノなのである。
おそらく、マクドナルドのどんなハンバーガーを食べても、このチーズが無ければそこまでの中毒性は無い。チーズに含まれる脂肪分もまた、脳には快楽をもたらすものであるため、このチーズを欲しいという願望が脳に一回一回刻まれるのである。
マクドナルドの公式サイトから栄養データを見てみると、
ハンバーガーとチーズバーガーではチーズ一枚の差であるが、
その重量差は14g。
その他を比較すると、
ハンバーガー ・・・ 260kcal
<脂質>
ハンバーガー ・・・ 9.6g
チーズバーガー ・・・ 13.5g
(差:3.9g)
<コレステロール>
ハンバーガー ・・・ 28mg
チーズバーガー ・・・ 40mg
(差:12mg)
となっている。
食品成分データベースのデータから同量の一般的なチェダーチーズ、そして一般的なスライスチーズであるプロセスチーズと比較すると、
マクドナルドのチーズ ・・・ 50kcal
一般のチェダーチーズ ・・・ 59kcal
プロセスチーズ ・・・ 47kcal
<脂質>
マクドナルドのチーズ ・・・ 3.9g
一般のチェダーチーズ ・・・ 4.7g
プロセスチーズ ・・・ 3.6g
<コレステロール>
マクドナルドのチーズ ・・・ 12mg
一般のチェダーチーズ ・・・ 28mg
プロセスチーズ ・・・ 11mg
となっていて、一般的なチェダーチーズよりはヘルシーなのだが、
一般的なスライスチーズよりはカロリーも高い。
同じように思っていると大ヤケドする。
この一枚が加わることによってカロリーや脂質は加速する。
マクドナルドではチーズ一枚50kcalだと覚えておこう。
チキンやテリヤキは、チキンなら揚げ物だし、テリヤキはこってりソースがあるから、それによって脳のシェアを奪いに来ているのである。
マクドナルドのハンバーガーは科学の結晶
割と味の濃いパン、そしてハンバーグ、そして上記のチーズ。
これをそのまま食べるのはなかなか大変なものである。
しかし、これをすんなり食べることを可能にしているのが酸味の存在だ。
酸味担当は、言わずと知れたケチャップとピクルスだ。
ハンバーガーでは普通、トマトが使われて口の中に酸味と爽やかさを残すのだが、スピードと低コストを追求するマクドナルドでは新鮮なトマトよりもトマトケチャップだ。
マクドナルドでは、ケチャップはつけるものではなく撃ち込むものだ。
専用の機械でハンバーグの上に「ショット」していく。
ケチャップとピクルスによる酸味で、強い味の食材も軽く食べられるようになるのだ。
これは数あるファンタ類やフィズ類にも言えることで、ちょっとした酸味があれば糖分が多くてもなぜか摂取できる人間の味覚を利用したものである。
何が言いたいのかと言うと、マクドナルドのハンバーガーは「科学の結晶」だということだ。
高カロリーを負担なく摂取させ、脳に覚えさせ、再び足が向くようにコントロールする。それは味覚だけでなく、店舗での体験、そういったものを含めて脳内におけるシェアを奪いに来ているのである。
何かあると(用が無くても)すぐにマクドナルドに行きたくなるなら、かなり脳内のシェアを奪われている状態だと言えるだろう。
マクドナルドの善悪は別として、シェアを取るための徹底したこだわりが、ハンバーガーから始まって全てにおいて見られるのだ。
河出書房新社
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